本を読めば分かる。でも、現場のコードは読めない
大熊私はこの業界に携わらせていただいている以上、ラダーの勉強はしようと思って、本を買ったりネットの記事を読んだりしているんです。一応、理解はできるなと思う。
でも、実際に現場のコードを読ませてもらうと「全然レベルが違うんだけど」と思って、理解できなかったりする。そこのギャップを感じることは、すごく多いですね。
Q.入門書と現場のあいだに、大きな段差があると。
大熊そうですね。そこが埋まらない。
ROUNDTABLE / 座談会 番外編(入門編)
ラダーは、どこから学べるのか。座談会の中で「ラダーはどこから学べるのか」「何がそんなに違うのか」という話がかなり具体的に出たので、そこだけを抜き出してお届けします。

THE FULL STORY
ラダープログラム。工場の設備を動かすための、製造業で長年使われてきた言語です。
ただ、この言語を学ぶ入口は、ほとんど知られていません。普通のプログラミングならネットに教材もサンプルもいくらでもありますが、ラダーはそうではない。「そういうものが存在すること自体」を知らないまま、エンジニアになっていく人がほとんどです。
先日、ラダーエンジニアの小野寺奉彦、AIエンジニアの野村浩太郎、CTOの大熊拓海の3人で座談会を開きました。その中で「ラダーはどこから学べるのか」「何がそんなに違うのか」という話がかなり具体的に出たので、そこだけを抜き出してお届けします。
※ 座談会の本編(ラダーエンジニアの仕事とAIについて)はこちら
まずはやってみる、を安く始められるのがマイコン。
設備は高額で、個人ではなかなか触れない。でもラダーは見た目こそ図のようでも、中身はアセンブラに近い。低レイヤをやったことがある人にとっては、実は地続きの世界です。
大熊私はこの業界に携わらせていただいている以上、ラダーの勉強はしようと思って、本を買ったりネットの記事を読んだりしているんです。一応、理解はできるなと思う。
でも、実際に現場のコードを読ませてもらうと「全然レベルが違うんだけど」と思って、理解できなかったりする。そこのギャップを感じることは、すごく多いですね。
Q.入門書と現場のあいだに、大きな段差があると。
大熊そうですね。そこが埋まらない。
Q.野村さんも勉強されていると伺いました。学ぶうえでの難しさは、どこにありますか。
野村まず、実行環境がないんです。回してみることができない。実機がないと。
頭の中でロジックを追うことはできます。でも、実際に動かして、物理で干渉して……というところは学べないんですよね。そこがどうにもならない。
あとは、スキャンタイムを考えたり、そういう世界で設計しなければいけない。一般的な言語とは、そこが全然違います。
Q.普通のプログラミングの感覚では捉えきれない、と。
野村僕はまだ体系的に組めるほどではなくて、読めるくらいのレベルなんですが、それでも「別の世界だな」という感覚はあります。
Q.小野寺さんは、どうやって身につけられたんですか。
小野寺僕は専門学校で電子回路設計と、Z80というマイコンのプログラムを書いていたんです。
それで、ラダーは見た目こそ図みたいですけど、実際はアセンブラとほぼ変わらないので、あれと同じノリで書けば、そんなに難しくはなかったですね。その当時流行っていたVBで業務アプリを作るより、PLCのほうが面白いと思っていました。
Q.見た目の印象と、中身が違うんですね。
小野寺そうですね。あとラダーエンジニアには、電気系みたいなタイプと、プログラマーみたいなタイプの2種類がいるんですよ。考え方が違う。だから、どちらの入口から来ても道はあると思います。
Q.これから学びたい人は、何から始めるのがいいでしょうか。
小野寺設備は高額なので、個人ではなかなか触れないんですよ。だから、まずはマイコンだと思います。
Arduinoとか、敷居が低くて安く始められますし、性能もどんどん上がっている。いじるのが好きな人には向いていると思います。ラダーも、大して変わらないですから。
大熊設備を組み立てたり、いきなり作ったりするのは敷居が高いけれど、個人でやるならマイコンからというイメージですか。
小野寺そうですね。まずはやってみる、を安く始められるのがマイコンなので。
Q.未経験からラダーエンジニアになった場合、成長はどう決まりますか。
小野寺身も蓋もないですが、最初に入った会社にかなり左右されます。わかりやすいラダーを教えてくれる先輩がいるか。自分のスキルに合った案件を担当でき、徐々にステップアップできる環境であるか。本人の素養も必要ですが。
Q.そもそも、その会社に出会えるかどうかが難しそうです。
小野寺こういう業界があること自体を知らない人が多いんですよね。僕自身、この業界をやるつもりなんてなかったんです。たまたま1社目に入った仕事がそれで、やるはめになっただけで。
普通のプログラマーなら、ネットで勉強していればサンプルもいくらでも転がっている。でもラダーは、プログラムが好きな人でも知る機会がない。工業高校に行っていれば触れる機会はあると思いますが、他の学校だとそういうものが存在すること自体を知らない。
だから、発信していく必要があると思うんです。いろんなメディアで「こういうものがあって、面白いんだ」とやっていく人が。
Q.最後に、どんな人がこの仕事を面白がれると思いますか。
小野寺まず、機械が好きな人ですね。機械が動いているのを見て「面白いね」と思えるノリの人。
ラダーエンジニアなら、現場に行って、自分が作ったソフトが動く。トラブルも多いですけど、それを面白いと感じられる人は向いていると思います。
あとは、新しいもの好きの人。ラダーエンジニアにもいろんなタイプがいて、新しい知識の勉強が好きなタイプと、新しいことを学びたくないタイプがいるんですよ。学びたくない人は、この仕事はもう成り立たないと思います。PCのプログラムを書いてみたいとか、AIで新しいものを作ってみようとか、そういう人じゃないと行き詰まる。
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この記事が、ラダーという世界があることを知るきっかけになれば嬉しいです。
Airionは、製造業のラダープログラムにAIを持ち込もうとしています。この領域に興味を持たれた方は、ぜひ一度、話してみましょう。
座談会の本編はこちら → 「15分止めたら、大問題。」──ラダーの現場を知る3人が語る、AIとFAのこれから